小崎光洋作品

ピース89 99

ピース99 CAVATINA ヴァイオリンとピアノのために

ここ数年、教室で弦楽合奏のクラスを作っていて、人数は少ないながら弦楽器とふれあう時間が
とても多くなっています。ボウイングやポジション、そして弓の使い方など逆にいろいろ教えられる
ことが多く、私にとってとても貴重な時間です。

今回演奏して下さる桜井雄三君はそのメンバーの一人です。その美しい音色はセカンドやサード
(ヴィオラの
代わりです)の目立たないパートをひいていても、しっかりと自己主張をしています。
「ここは旋律だからいっぱい歌っていいよ」と言ってもらえるのをいつでも待っている感じです。
本当に音楽を楽しんでいることが
その音色や姿全体から伝わってきます。そのくせ雄三君は
大変ないたずら者で、普段の練習でも、気の合う
同年輩の男の子達と教室せましと(本当に狭い)
休憩時間を謳歌しています。そんな年なりの普通の少年である雄三君と、ひとたび楽器を持つと
ヴィヴラート大好き少年に変身する雄三君とは、私の頭の中で
一つにつながっているようでもあり、
別々のようでもあります。それが作曲する段になるとすこしく混乱の
材料となったようで、実に
てんでんばらばらなスケッチを描いては捨てるという事を繰り返しました。なにしろ
私の子と
1歳違いで、その姿が重なるとじつに訳がわからない物があります。混乱の末、お気に入りの

フレーズを見つけると、すかさずおいしそうにヴィヴラートをかける、その雄三君そのものに焦点を
当てることにしました。今回の作品は音楽としては少し大人の世界かもしれないとは思います。
けれども、美しい
ものを素直に美しいと感じてそれを力一杯表現してくれる彼の演奏の心地よさを、
率直に私なりに描いてみた結果このようになりました。Des durという、落ち着いた響きの調の
CAVATINA、語法としてはしっかり
とした調性の範囲にあって、ロマンティックなメロディーを奏でる
ヴァイオリンとそれを控えめに支えるピアノ伴奏といったたたずまいです。

また、ピアノの伴奏をして下さるお母様、また、この作品の指導その他について協力を快諾して
下さった
吉野薫先生に心から御礼申し上げます。

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