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野口龍と仲間たち(フルート)  末吉保雄個展  来往舎(入江要介&鮎沢京吾)


コンサート・プログラム

秋・空・響 入江要介&鮎沢京吾リサイタル
         〜2007年11月10日・慶應義塾大学日吉キャンパス
                             来往舎イベントテラス(午後4時30分開演)

松井裕紀子 「Duo」 for Shakuhachi and San-gen
福田 恵子 「RAIOSHA in autumn」 …尺八・三味線・ソプラノによる
木原 福子 「花神」 …三味線のために
平井 京子 「眠れない満月の夜に…」 …尺八・三味線・フルート・チェロのために
末吉 保雄 「行々て(ゆきゆきて) …尺八と三味線の遍路に
大家 百子 「三つの呪文」No.2 …三味線と打楽器のために
橋本  忠 「石庭二題」 …尺八ソロのために
小田百合子 「扉のむこう」(来往舎バージョン) …尺八・三味線・フルート・チェロ・打楽器による

― 曲目解説 ―

「Duo」 for Shakuhachi and San-gen・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松井裕紀子
 母の影響で幼少より慣れ親しんでいるのに、音色の持つ個性や楽器構造上の特質から作曲をする上では距離
感を感じてしまっていた尺八と三弦。そんな私と楽器との隔たりをうめてくれた2人の素晴らしい奏者。そして来往舎
という空間から響いてきた「Duo」。それぞれの相互関係を表す作品になったように思います。
 ―近くて遠い、遠くて近い存在。
 ―事象は両面を持ち合わせる。また反するものが背中合わせに在る。
初演していただく機会を与えてくださった皆々様に心より御礼申し上げます。

「RAIOSHA in autumn」 …尺八・三味線・ソプラノによる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・福田 恵子
 2年近く前、初めてこの「来往舎」に足を踏み入れた時の驚きを思い出す。巨大な空間に立ち、圧倒されながら
見上げた吹抜けの天井から、音が舞い降りてくるような錯覚をおぼえた。ソプラノの澄んだ美しい声を、尺八、三味
線とともに、あの天井から降らせてみたい…曲の楽器編成はすぐに決まった。
 ソプラノに特別なテキストは用いなかった。しかし、リズムの刻み、音色の変化など、奏法の助けとして言葉をいく
つか与えた。題名で示すとおり、この曲は「来往舎オリジナル」である。見事な銀杏並木と来往舎。コンサートタイト
ルの「秋、スペース、そして響き」、コンサートホールでは出来ない試みに、大きな期待と少なからぬ不安を合せて
感じている。

「花神」 …三味線のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木原 福子
 洋楽器に囲まれて来た私にとって、邦楽器、それも三味線の曲を作曲するのは、不安でもあり、また楽しみでもあ
りました。三味線をひとつの素材として現代の音の中に組み込む事に主題を置くのではなく、あくまで古典を踏襲
しようと考えたのは、邦楽特有の音色や間というものが、想像していた以上に日本人としての私の内にしっかりと残
っていたからだと思います。本日の演奏が、正当な古典の延長上にある曲としてお聴き頂くことが出来ましたら、こん
なに嬉しいことはありません。
 「花神」の花のイメージは蘭のような華やかな花ではなく、野に咲く可憐な花、風雨に耐えた花です。そんな小さな
花をじっと見ていると、逆に見つめ返されているような気持ちになります。ものを語らぬ花が雄弁に語りかけてきます。
わずかな風が花びらを揺らしているだけです…

「眠れない満月の夜に…」 …尺八・三味線・フルート・チェロのために・・・・・・・・・・・・・・・平井 京子
 邦楽器2台プラス西洋楽器2台のために楽しい曲を創りました。映画「月の輝く夜に」(ニコラスケイジ主演)の、満月
が大きく光り輝く夜に人は何故か恋愛モードに陥る、という設定からヒントを得た題名ですが、満月の浮かれた夜に、
こんな不思議な4人の演奏を聴いてみたらきっと眠る事も忘れてしまうかも知れない、と想像しながら書き進めました。
特徴の異なる楽器同士が何とか自然な音の世界に結びつき行き着くように、願いを込めて作曲しました。初演にあた
り、多くの方々のご努力に心から感謝申し上げます。

「行々て(ゆきゆきて) …尺八と三味線の遍路に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・末吉 保雄
 尺八は、もと虚無僧が吹いた。深編笠をかぶり、袈裟をかけ諸国を行脚した。江戸期以降の和楽器の主役とも言え
る三味線は、座り、あるいは腰をかけて弾くが、ときに「ごぜ」たちのような門付けは、弾きながら歩いてゆく。
 長い路を行く人が、笛を吹きながら、あるいは弦楽器を奏しながら通り過ぎる。昔から、「ハメルーンの笛吹き」に限ら
ず、広く行われた演奏の仕方のひとつだ。残念ながら、我々の周辺では、「お祭り」の他でこれに出会うことは稀にな
った。近付いてくる音が、間近を通り過ぎ、そして遠ざかる。それは、客席とステージのあいだで、方角と距離を一定に
して聞く音楽とは、また違った趣をはこぶ。奏者を除いて、耳に入る「音楽」は、部分でしかない。また聞く音は、聞く人
の場所によって変わる。
 「曲」は、コンサートの休憩時間中に、来会者の気付かぬ時に始まる。秋の来往舎の空間を、二人は、どのように通り
過ぎてゆくだろうか。

「三つの呪文」No.2 …三味線と打楽器のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大家 百子
 邦楽は遠い世界であると思っていた。実を言うと、今回「書く」となるまで、三味線には触ったこともなかった。何ができ
るのか、できないのか、さっぱり不明であった。とは言え、日本人。節回しと言い、間合いと言い、三味線の音そのものが
体の中に結構深く入り込んでいることに「書き始めて」初めて気がつき、愕然とした。そこで、一から学ぶこと、染み付い
ているものから一旦離れること。この二つを自らに課すことにした。
 伊狩美多賀先生がお手元の三味線を、「新しい曲が生まれるのならば・・」と大変なご厚意でお譲りくださった。橋渡し
をしてくださった山口明代賀先生は大学で邦楽を教えてられるが、こっそり私も授業に紛れ込ませていただき、初歩の
初歩をお習いした。若い学生さんとの簡単な合奏などはおおいに楽しかった。しかし毎週通学の時間もなく、結局は一
人、教本片手に手探りで楽器を打ち鳴らす日々であった。が、これがひどく面白い。あれもできる、これもできると、自分
では大発見の「つもり」の連発。この「つもり」が積もって出来上がったのが「三つの呪文」である。鮎沢さんには苦労をか
けてしまうかもしれない。

「石庭二題」 …尺八ソロのために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・橋本  忠
 龍安寺の石庭前に座っていると不思議に心が落ち着く。毎年一度は訪れる京都の中でも龍安寺は私にとって特別な
場所になっている。流れる雲、そよぐ木の葉、蝉の声、時の移ろひと共に刻々と変化する陽の光等々、その空間総てが
現実から隔絶された異空間のように感じられ、心の中が無になったような気がして気持ちが安らぐ。
 今回、尺八のための曲を書くに当り、まず思い浮かんだのがこの情景である。曲の根幹には、この場所に佇んだ時に
聞こえてくる裡からの声のようなものがイメージとしてある。伝統的な尺八曲の精神性の深さに加え、鋭くたたみかける激
情とのコントラストが表現できればと願った。
真摯な姿勢で意欲的に取り組んでくださった入江さんに心より感謝している。

「扉のむこう」(来往舎バージョン) …尺八・三味線・フルート・チェロ・打楽器による・・・・・・・・・小田百合子
 離島に遊びに来た人々。休みを十分満喫して島から発つその日にしけで船が来なかった。次の便は2日後。予定が
狂った乗客の中で、楽器を持っていた人たちがその時その場で音楽を楽しんだらどうだろう?というのが、当初の編成、
尺八・三味線・フルートのために考えた枠である。同時に、「各楽器の個性を尊重する」ということも念頭においた。従来
のホールと違う来往舎の空間は自由な発想を与えてくれ、冒険気分で書いた。9月終わりに「最後の部分に全楽器が加
わって賑やかに終える」という話になり、来往舎バージョンが出来上がった。初演に当たり、一生懸命取り組んでくださっ
た演奏者の皆様に心より感謝申し上げます。

【演奏者】
入江要介(尺八)
 大阪府出身。桐朋学園大学短期大学部卒業。第一回和洋楽器グループコンテストにおいてグランプリを受賞。都山流
大阪支部本曲尺八コンクール第1位。長江杯国際音楽コンクール邦楽部門優秀賞。ノーヴイ国際音楽コンクール、東京
邦楽コンクールなので上位入賞するなどの入賞歴を持つ。自作品の演奏活動も積極的に展開する。「競楽」において自
作品を演奏し入選。第1回TIAA全日本作曲家コンクール入選。これまでに海フェスタ音楽祭制作コンクール最優秀賞な
らびに県知事賞、読売新聞社賞、日本民謡協会賞などを受賞。イタリアにて公演を行う。志茂田景樹氏企画の「よい子
に読み聞かせ隊」に音楽メンバーとして参加。瀬戸内寂聴氏とのコラボレーション企画がTVで放送される。フジテレビを
はじめ雑誌、TV、映画にも出演し幅広く活動している。

鮎沢京吾(三味線)
 栃木県宇都宮市出身。桐朋学園短期大学部卒業。同専攻科終了。長谷川裕翔氏、杵屋勝芳壽氏、本條秀太郎氏に
師事。第2回合掌の里芸術祭最優秀賞。第2回東京邦楽コンクール第1位。第1回和洋楽器グループコンテスト・グランプリ、
日本民謡協会賞・読売新聞社賞、薦田奨励賞受賞。第13回熊本全国邦楽コンクール優秀賞【部門1位】。現在桐朋学園
芸術短期大学研究科。現代邦楽研究所研究生。現代三味線音楽協会会員。また本條秀慈郎として俚奏楽・端唄・民謡
を収録、舞台・テレビ、ラジオなどに出演、活躍中。

【共演者・協力者】
小山裕幾(フルート) ―塾生特別共演―
 新潟県出身。慶應義塾大学理工学部2年在学。第73回日本音楽コンクールフルート部門第1位。第6回神戸国際フルートコンクール第1位。第17回出
光音楽賞受賞。その他受賞歴多数。2000年、日蘭友好400年を記念してオランダ各地をめぐる両国若手演奏家による演奏旅行に参加。全日本学生音
楽コンクール55周年記念ガラコンサートに出演。平成15年度文化庁新進芸術家公演事業として(財)長岡市芸術文化振興財団の支援により、リサイタル
を開催。今までに大阪シンフォニカー交響楽団、新日本フィルハーモニー、澤カルテットと共演、ほか演奏歴多数。これまでに三上明子、ヴォルフガン
グ・シュルツ、パウル・マイゼン、オーレル・ニコレ、堀井恵、ハンスゲオルグ・シュマイザーの各氏に師事。

相川瞳(
打楽器)

 東京都出身。幼少よりピアノを15歳より打楽器を始める。2006年東京芸術大学音楽学部器楽科打楽器専攻卒業。在学中に大学主催の演奏会のソリス
トに選ばれ芸大フィルハーモニアと共演。2006年、同声会賞を受賞。2007年ブルガリアで行われたPendim主催国際打楽器コンクールデュオ部門におい
て1位なしの2位受賞。これまでに打楽器を萱谷亮一、有賀誠門、藤本隆文の各氏に師事。その他、ミュージカルやサポート面でも幅広く活動中。

辛島小恵(ソプラノ)
 東京生まれ。小学校1年から11年間、NHK東京児童合唱団に在籍し数多くのテレビ番組、ラジオ、演奏会等に出演。2004年、桐朋学園大学音楽学部
声楽科を首席卒業。同研究科修了。大学主催「卒業演奏会」等に出演。毎日新聞社主催、第53回全日本学生音楽コンクール高校の部入選。同第59回
全日本学生音楽コンクール大学・一般の部入選。ローマに短期留学。大島幾雄氏に師事。二期会オペラ研修所在籍中。2007年、東宝ミュージカル「レ・
ミゼラブル」(帝国劇場・博多座)コゼット役でデビュー。

佐藤翔(チェロ
)

 16歳よりチェロを始める。桐朋学園短期大学部(現、桐朋学園芸術短期大学)を経て、桐朋学園大学に編入。チェロを北本秀樹氏、Donard Moline氏の
両氏に師事。現在4年に在学中。第一回和洋楽器グループコンテストでグランプリを受賞。

神保麻奈(演出・案内人―銀杏の精)
 演劇集団「円」付属研究所、および「黒色テント」の研究生を経て、1983年阿部良率いる「全シェイクスピア」のちの「桜会」の旗揚げに参加。以降、桜会
の女優として今日に至る。
最近の出演作品:2007年2月〈バラ戦争〉〜W.シェイクスピア作「ヘンリー六世」「リチャード三世」より〜、同10月一人芝居〈デズデモーナ〉〜W.シェイクス
ピア作「オセロ」より〜いずれも阿部良構成・演出。

花村直希(案内人―翁)
 IT業界で働く傍ら音響で芝居のスタッフとしてまた役者としても活躍。
千真(能面作成)
 ある面に魅せられ能面作家の道に入り三十年余り。「能面とは何ぞや?」答えを探しつつ現在に至る。能の舞台、ダンス、パントマイム等の分野とのコラ
ボレーションにもテーマを感じている。
香都(曲名題字)
雅な仮名文字に魅せられて、終着駅のない修行に精進の日々。スイス・ローザンヌ近郊にて、絵画とのコラボレーションによる個展を開き、書以外との出会
いを楽しんでいる。
荻上由紀子(イラストデザイン)
 平面デザインを学び、イラストレーションの世界へ。主に女の子をモデルとした柔らかな水彩画を描く。現在、音楽の教本等の活動を行っている。

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