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コンサート・プログラム

エクセルシオ弦楽四重奏団新作コンサートvol.2
           〜2000年2月10日・古賀音楽博物館・けやきホール(午後7時開演)

岩坪 昌代 弦楽四重奏曲〈かたち〉(1999)初演
末吉 保雄 コレスポンダンス/correspondance IX …弦楽四重奏のために(1999)初演
後藤 浩明 Theater piece[s]…朗読付(1999)コンサート初演
木原 福子 Le chiacchiere(1999)初演

― 曲目解説 ―

弦楽四重奏曲〈かたち〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・岩坪 昌代
 私たちが日頃見ている物に必ず有するそれぞれの〈かたち〉。喧騒の中に、あるいは静寂の中に存在する
〈かたち〉が、時間と空間のはざまで変容を重ね、幻像となっていく。沈黙し、たたずむ彼らの声なき声に
耳を傾けたとき、聞こえてきた響きがこの曲になりました。
 ヴァイオリンに第1主題が提示され、第2主題はチェロが歌います。展開部は第2ヴァイオリンのスタッカートで
始まり、チェロ、ヴィオラ、第1ヴァイオリンへと受け継がれていきます。

コレスポンダンス IX…弦楽四重奏曲のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・末吉 保雄
 コレスポンダンス(correspondance)とは、たとえば手紙のやりとり、乗り物の連絡や乗換え、つまり、対応、一致、
照応を言う。作曲者は、ある種の室内楽シリーズをこう名付け、これまでに、I,IIをクラリネットの二重奏、III,IVを
フルート、ヴァイオリン、ピアノ、V,VIをフルートと打楽器、VII,VIII(未完)をコントラバスと打楽器のために
書いてきた。それぞれ、2曲が組になり、個別にも、2曲を順に、あるいは逆順で通奏することもできる。
今夕の曲は、そのIX番目、おそらくおなじジャンルのXが続くことになる。
 この曲は、7つのカノンから成る。(1)は非常に速く、(2)は非常に遅く、(3)は(2)の結び。(4)は速く、激しく、
(5)は、やや遅い自由な単旋律と、対照的な他声。(6)は、やや速く、そして(7)は、中庸を保って曲を閉じる。
つまり、緩急の速度の対照が、次第に緩やかになって、ついに中央で停止する。

Theater piece[s]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後藤 浩明
 演劇や舞台のための音楽を手がけるようになってから、かれこれ10年以上経った。もともと“演劇ファン”
でもなかった僕自身、はじめのうちは、ここまでふかく演劇に関わることになろうとは思っていなかったのだが、
いくつもの作品に関わるうちに、いわゆる“純音楽”にはない、舞台のための音楽の「音楽的可能性」を見いだすようになり、それを積極的に舞台音楽の作曲に取り入れることに大きな興味を感じるようになった。
 それは大雑把に言ってしまえば、音楽の構造と様式に関することなのだが、a)音楽的な構造に、作品の構造を、
擬態、注釈させること(作品への、音楽による/音楽的な註)。これはTEXTの説話的構造のみならず、舞台
[装置や照明、衣装などなど]そのものの構造もその参照対象となりうる。作品の構造はまた、楽器や演奏者に
その“振る舞い方”を規定させる場合もある。b)作品の内容(時代、場所、ジャンルなど)による、音楽のスタイル
(=書法)の選択。多様な音楽の様式を、スタイル/ジャンルごと、引用/参照すること、またそれを組み合わせる
ことによる、多様性/多義性への拡がり。というようなことで、ベルクやベリオ(やその他の現代作曲家たち)の手法の
ポップなやり方での援用といえる(?)かもしれないが、少なくともこうしたコンセプトをもって作品に取り組むことに
より、“劇伴”の「雰囲気さえ合っていればオッケー」的な安易さにささやかなNOを試みて来た。とはいえ舞台に
とって、最低限の雰囲気への配慮や、ある種のわかりやすさは大命題なわけで、結果的にいくつかの
“キャッチー”な曲が生まれてくることもある。
 そんな曲のいくつかを、幕間、あるいはアンコールピース用にでも、という思い出(クロノスも時々は「パープル・
ヘイズ」を演奏するように!)カルテットに改作したものを、今夕演奏していただく。いずれも短いものなので、
朗読とともにくつろいでお楽しみいただきたいと思う。

Le chiacchiere・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木原 福子
 人々のざわめきや雑踏の中に「音」を聴くのは楽しい。特に若い人達の会話を聴くと音楽的だと思う。
まるで、音の触感を楽しむかのように、会話を続けていく。今までの日本語にはない、テンポの速い
エネルギーを感じることがある。その不思議なエネルギーを私の音の中に融合してみたいと思い、この曲を
作った。
 「Le chiacchiere」はイタリア語で「おしゃべり」の意味です。今夕の若いカルテットの皆さんの
「Le chiacchiere alla Excelsior」(おしゃべり…エクセルシオ風)に期待しています。

【演奏者】
エクセルシオ弦楽四重奏団(Quartet Excelsior)
 ヴァイオリンの西野ゆか、遠藤香奈子、ヴィオラの吉田有紀子、チェロの大友肇、ともに、桐朋女子高等学校
音楽科(共学)から桐朋学園大学音楽学部に進み、卒業後同大学研究科を修了した。同窓四人によるこの弦楽
四重奏団は、彼らの学部在学中、1992年に結成された。意欲的な取組が早くから高く評価され、1994年には、
同大学の推薦により奨学金を得て[Internationale Sommer Akademie In Prag. Wien, Budapest]の室内楽
マスターコースに参加し、バルトーク・クァルテットに師事した。
 1995年にはヒンデミット生誕100年記念演奏会プレコンサートに出演するなどの演奏経験を重ね、1996年3月
「第1回東京室内楽コンクール」で第1位、同年5月「第2回大阪国際室内楽コンクール」では第2位を受賞した。
おなじ年の5月、京都「青山音楽記念館」で、また、1997年4月に東京「カザルスホール」でリサイタルを開催した。
1999年1月には「OTOの会・新作コンサートシリーズNo.1」において、同会作曲家メンバー5人の作品の初演と
ハイドンの「弦楽四重奏曲『五度』」を演奏した。
 なお、西野はヴァイオリンを梅津南美子、鷲見健彰、遠藤は鷲見健彰、原田幸一郎、吉田は天満敦子、鷲見健彰、
ヴィオラを岡田伸夫、大友はチェロを井上頼豊、津田朝子、勝田聡一の各氏に師事した。

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